相続税・準確定申告の期限について

相続頑張るFPです。

相続が発生すると何かと忙しくなります。今回は相続税、準確定申告の期限について解説します。

 

準確定申告とは

まず準確定申告について解説します。

準確定申告とは亡くなった方の代わりに相続人が確定申告をする制度です。通常の確定申告は1月1日から12月31日までの所得を本人が翌年の2月15日から3月15日までに行います。

しかし、本人が亡くなってしまうと税金の申告ができなくなるため、相続人が代わりに準確定申告を行います。

準確定申告が必要となるケースは以下のようなものがあげられます。

・給与所得が2,000万円を超えている場合

・給与所得や退職所得以外の所得が20万円を超えている場合

・土地・建物を売却した場合

・公的年金の収入が400万円を超えている場合

上記のケースでは準確定申告が必要になります。準確定申告の期限は相続発生後4ヶ月以内です。まずは、準確定申告が必要となるかどうかを見極めて、遅れないように準備するようにしましょう。

準確定申告は被相続人の住所地の管轄の税務署で行う必要があります。相続人が遠方に住んでいる場合はe-Taxや郵送で手続きをするようにしましょう。

 

相続税の申告期限

相続税の申告期限は相続発生から10ヶ月以内です。

10ヶ月と聞くと余裕があると感じる方も多いと思いますが、実際には非常にタイトな期限です。

相続が発生すると被相続人が保有してた財産を調べる必要があります。被相続人の取引していた金融機関が分からないケースなどでは調べるだけでもかなり時間がかかってしまうでしょう。財産の全体像を把握することができたら、次に評価を行います。

財産の評価方法は国税庁の通達によって定められています。例えば、土地であれば、路線価×面積で算出します。不動産が多い場合などはそれぞれの不動産の評価を行うため、時間がかかることがあります。

また、遺産分割協議にも時間がかかることが多くあります。相続人間での話し合いがまとまらなければ、手続きが前に進みません。

相続税の申告は早めに準備を

準確定申告の期限は4ヶ月、相続税の申告期限は10ヶ月です。余裕があると思われる方もいるかもしれませんが、相続発生後は葬儀や遺品の整理、年金の手続きや電気・ガス・水道などライフラインの手続きなど、さまざまな手続きを行う必要があります。

実際には多くの方が期限ぎりぎりになってしまいますので、早めに準備を始めて手続きを進めるようにしましょう。

 

 

法定相続人以外の人を遺産分割協議に加えたい場合

 

相続頑張るFPです。

前回は財産を法定相続人以外に渡す方法について解説しました。今回は相続発生後に、法定相続人以外の人に財産を遺す方法を解説します。

 

相続発生後に財産を遺す場合

相続財産を相続発生後に相続人以外の人に遺す場合、遺言を作成する必要があります。相続発生後に財産を遺す場合、二つの方法があり、一つは「特定遺贈」、もう一つは「包括遺贈」です。

特定遺贈とは特定の財産を遺贈することを遺言に記載することです。

例えば、現金1,000万円を遺贈する場合や特定の不動産を遺贈する場合などがあたります。

一方で包括遺贈とは、被相続人が保有する財産を特定せずに遺贈することです。

例えば、AとBに2分の1ずつ包括遺贈するという内容の遺言を遺した場合、AとBが話し合って、財産を2分の1ずつになるように分ける必要があります。

 

法定相続人以外の人に財産を遺す場合の注意点

法定相続人以外の人に財産を遺す場合にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

 

他の法定相続人の心情に配慮する

法定相続人以外の人に特別にお世話になった場合、財産を遺したいと考える方もいます。しかし、多くの人が法定相続人に財産を遺す中、法定相続人以外の人に財産を遺す場合、法定相続人の心情には配慮して遺す必要があります。

法定相続人は配偶者や子供、兄弟姉妹や甥・姪など関係の深い人です。現在は疎遠であったとしても、法定相続人の心情には配慮して遺し方を決めるべきでしょう。

特に配偶者や子供には遺留分があります。遺留分を無視して法定相続人以外の人に遺す遺言を作成したとしても遺留分を請求されると、その遺言書通りの分け方ができなくなります。法定相続人以外の人に財産を遺す場合は、法定相続人に財産を遺す遺言を作成するよりも慎重に検討する必要があるのです。

 

税金の配慮が必要

法定相続人以外の人に財産を遺す場合は、税金についても考慮して遺す必要があります。生前に贈与をする場合は贈与税、相続発生後に財産を遺す場合は相続税の課税対象と内なります。

 

預金などを遺す場合は、受け取った金銭から税金を支払うことができますが、不動産など、すぐに現金化できない財産を遺したい場合は注意が必要です。

せっかく財産を遺しても、税金を支払う余力がなければ、迷惑に思うかもしれません。相続人以外の人に財産を遺す場合は、事前に話し合って、税金の支払いが必要になることなどを説明しておいた方がよいでしょう。

生前に法定相続人以外の人に財産を渡したい場合

 

相続頑張るFPです。

相続が発生すると法定相続人が協議して財産を分割することになります。しかし、必ずしも法定相続人にすべての財産を遺したいと考えていない方もいるでしょう。

今回は法定相続人以外の人に財産を遺す方法について解説していきたいと思います。

 

生前に財産を渡す場合

生前に法定相続人に財産を渡す場合、贈与という形になります。贈与は贈与税の対象となりますので、年間110万円の基礎控除を超える金額の贈与であれば、贈与税がかかります。

贈与は贈与をする側とされる側の意思表示があれば成立します。贈与は必ずしも書面で行う必要はありませんので、口頭で正式に成立します。現金の場合は、振込などでも贈与が成立しますが、不動産の贈与をする場合は不動産の登記が必要です。

不動産の場合、土地を渡す代わりに金銭を受け取った場合は売買となります。しかし、著しく低い価格で売買した場合、贈与とみなされます。

例えば、時価3,000万円の土地を100万円で売買した場合、差額の2,900万円は贈与として贈与税の対象となりますので注意しましょう。

 

渡す人別に注意点を解説

生前に財産を渡し場合、どのようなことに注意をすればよいのでしょうか。渡す人別に注意点を見ていきましょう。

 

孫・ひ孫

法定相続人以外の人に財産を遺すケースとして最も多いのが孫やひ孫に贈与するケースでしょう。資産家の方は同じ財産に何度も相続税がかかることを避けるために代飛ばしで贈与をするということも多く行われています。

 

孫やひ孫に贈与をする場合は教育資金一括贈与の特例などを活用することで、大きな金額を移転することも可能です。

 

孫やひ孫に財産を贈与する場合、お金についてしっかりと教育をすることが重要です。民法改正による成人年齢引き下げによって、18歳以上は成人として自分の口座に入っているお金を使うことができます。18歳になった時に無駄遣いをしたり、だまし取られたりしないようにしっかりと教育をする必要があります。

 

内縁の妻・夫

内縁の妻や夫は法定相続人ではありませんが、一緒に暮らしている場合などは自宅不動産などを生前に贈与をするケースもあり得ます。内縁の妻や夫に財産を渡す場合、他の相続人との関係に配慮する必要があります。

結婚していない場合、兄弟姉妹や兄弟姉妹が亡くなっている場合、甥・姪が相続人となります。内縁の妻・夫に財産を遺す場合は、遺言を作成するなど、相続発生後の財産配分にも配慮する必要があるでしょう。

 

お世話になった人

生前に特別にお世話になった人に特定の財産を遺したいということもあるでしょう。例えば、共同で経営していた会社の株式や管理をお願いしたい不動産などがあげられます。

お世話になった人に財産を渡す場合は、財産を渡す人に事前に相談することはもちろんのこと、法定相続人にも説明しておく必要があります。配偶者や子が法定相続人となるケースでは、法定相続人に遺す必要が無い財産なのかよく検討してから贈与する必要があります。

暦年贈与ができなくなるって本当?

相続頑張るFPです。

相続税対策として有効な手段である暦年贈与が無くなるという話を聞いたことがありますか?週刊誌などで噂されている暦年贈与の廃止は本当なのでしょうか。

今回は暦年贈与の廃止の噂について解説します。

 

暦年贈与とは

まずは暦年贈与とはどのようなものなのか解説していきましょう。

暦年贈与とは1年に贈与した金額に対して課税される制度です。現在の税制では年間110万円までが非課税となり、110万円を超える贈与に対して贈与税が課されます。

贈与税は元々、相続税の補完的な意味合いで相続税の課税を逃れるために生前に贈与した財産に課税するために作られています。

 

暦年贈与の廃止が噂される理由

暦年贈与の廃止が噂される理由は、2021年度の税制改正大綱に贈与税について記載があるからです。

税制改正大綱とは相続税の改正や今後の方針を示すものです。2021年度の税制改正大綱では暦年贈与の廃止が宣言されたわけではありませんが、今後暦年贈与について本格的に検討することが記されています。

税制改正大綱には高齢化等によって若年層に資産移転が進められることが望ましいとしながらも、暦年贈与により非課税で資産移転が行われることから格差の固定化につながりかねないと記されています。

このことからも、暦年贈与について改正がされ、縮小または廃止の方向になるのではないかと噂されています。

 

諸外国に足並みを揃える?

政府が税制改正大綱に暦年課税の見直しを進めることは記載した理由は、諸外国は日本のような暦年課税制度は少ないということです。

日本は110万円という非課税枠を設ける代わりに贈与税は相続税よりも高い税率を課しています。

そのため、日本では非課税枠を使ってなるべく多くの財産を下の世代に渡し、残りは相続をするという方が多くなります。

一方でアメリカやヨーロッパの制度では、相続と贈与は一体の税制度となっており、いつ財産を渡しても同じ税率で課税される制度になっています。

この仕組みのおかげで、日本のように少しずつ贈与をすれば、税金が一切かからないということを避けることができているのです。

日本の政府は諸外国の制度を参考にしながら相続と贈与の一体化をすすめる可能性が高いでしょう。

 

税改正はいつから?

令和4年度の税制改正では、贈与税の将来的な改正の可能性が示されたものの、具体的な改正は記載されていませんでした。

しかし、令和5年度の税制改正では相続税と贈与税の一体化など大幅な税制改正がされる可能性もあります。来年度の税制改正も注目する必要があるでしょう。

 

相続税を申告・納付しないとどんなペナルティが待っている!?

 

 

相続頑張るFPです。

前回の記事では相続税の申告や納付をしないと、税務署にばれてしまう可能性が高いということを開設しました。

今回は具体的にどのようなペナルティがあるか解説します。

無申告加算税

無申告加算税とは税金の申告を怠った場合に課される加算税です。 無申告加算税の税率は以下の通りです。

修正申告時期 税率
法定申告期限の翌日から調査通知日まで 対象外
調査通知以後から調査による更正等予知前まで 10%
(15%)
調査による更正等予知以後 15%
(20%)


※書きは加算される部分期限内申告税額と50万円を超える部分に対する加算税割合を表します。

無申告加算税は申告時期によって加算税の税率が異なります。無申告であったとしても早いタイミングで納税した方がペナルティは小さくなります。

 

過少申告加算税

過少申告加算税とは相続財産を過少申告した場合に課される加算税です。
過少申告加算税の税率は以下の通りです。

 

修正申告時期 税率
法定申告期限の翌日から調査通知日まで 対象外
調査通知以後から調査による更正等予知前まで 5%
(10%)
調査による更正等予知以後 10%
(15%)

 

()書きは加算される部分期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分に対する加算税割合を表します。


上の表の通り、過少申告加算税は、無申告加算器と同じように申告する時期によって加算税の税率が異なります。
ただし、過少申告加算税は過少であった部分にのみ加算税が課されますが、無申告加算税は全ての財産に対し、加算税が課されます。

また、申告期限後であっても、調査通知前であれば無申告加算税は課されません。

 

延滞税

延滞税とは納税をする時期に納税することができず、延滞した場合には延滞税がかかります。

延滞税は、利子のようなものですので、その年によって税率が異なります。また、延滞から2カ月経過までと2カ月経過後で利息が代わります。

令和4年度の延滞税の税率は以下の通りです。

2カ月まで:2.4%

2カ月経過後:8.7%

1,000万円の相続税を延滞をした場合、2カ月経過後は年間87万円の延滞税を払うことになります。延滞税の負担は重いので期限内に支払うことが重要です。

 

重加算税

重加算税とは意図的に財産を隠したり、仮想した場合に課される税金です。
悪意がある場合はうっかり申告が漏れた場合よりも高い税率で加算税を支払うことになります。
重加算税の税率は以下の通りです。

加算税の区分 税率
重加算税(過少申告) 45%
重加算税(無申告) 50%



重加算税は非常に重い税率が課される上に延滞税も課されます。

 

相続税のペナルティは重い

相続税の無申告や過少申告があった場合、加算税が課され、税金の負担が重くなります。
特に意図的に財産を隠した場合などに課される重加算税は非常に重いペナルティが課されます。
税務署はKSKというシステムを使って、調査対象を絞り込みます。自分も調査を受ける可能性があると思って、正しく申告する様にしましょう。

相続税を申告しないと税務署にばれる?税務署にばれるカラクリを解説します。

 

相続頑張るFPです。

相続税の申告はしなければ本当に税務署にばれるのでしょうか。

税務署は人が亡くなったことや財産がどれくらいあるか、調べる手段が無いので、申告しなければわからないだろうと考える方もいるかもしれません。

 

税務署はどのように相続の発生や相続人の財産をどのように知っているのでしょうか。

 

市長村役場から税務署に連絡が入る

相続が発生すると市長村役場から税務署に連絡が入ります。

市長村役場は死亡届を受理したら、税務署に連絡を入れる義務が相続税法58条で定められています。

相続税法58条はゴッパチと呼ばれ、市長村役場に義務が付けられています。

なぜ、被相続人が亡くなったことを税務署が知ることになるんだろうと不思議に思う方もいるかもしれませんが、法律による裏付けがあるのです。

 

KSKで推測がつく

税務署はKSK(国税総合管理)というシステムを使って、国税の総合管理を行なっています。 KSKは全国の税務署のネットワークを結び、納税情報を納税者ごとに一元管理するシステムです。

KSKを利用することで、国内の所得税や固定資産税など、あらゆる納税情報を把握することができます。

そのため、税務署は必ず相続発生を必ず知ることになります。

所得税や固定資産税をたくさん払っている人は基本的に財産が多い人です。

他の納税情報から財産が多いと思われる方が相続発生後、相続税の納税が無ければ、税務署は調査を開始します。

 

また、所得税や固定資産税の納税状況から考えて相続税の納税額が少ない場合も調査の対象となる場合があります。

預金を亡くなる直前に銀行から引き出して、タンス預金にする方もいますが、税務署は銀行に情報を開示させる権限があります。

 

銀行からの出金情報を入手すれば、亡くなる直前に出金したことはすぐにわかります。不審な出金がある場合は自宅に立ち入り調整が入ることもあるのです。

あらゆるものがシステム化している昨今。

税務署もシステムを導入し、効率よく税務調査を行っています。

詳細は明かされていませんが、以前よりも精緻に調査ができるようになってきているのは間違えありません。

 

税務署に隠すことは難しい

結論としては相続が発生したことを税務署にバレないようにすることや、財産を隠すことは非常に難しいと言えるでしょう。

実際に税務調査が入るかどうかはわかりませんが、しっかりとルールを守って申告・納税をすることが大切です。

次の記事では相続税の申告が遅れたり、漏れたりした場合にどのようなペナルティがあるのか解説します。

相続税の納付書の入手方法と申告・納付時の注意点

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相続頑張るFPです。

 

今日は相続税の納付書の入手方法と申告・納付時の注意点についてみていきます。

 

相続税の納付書の入手方法

相続税の計算を行い税額が発生すると、申告期限までに納税も済ませなければなりません。

しかし、いざ納税をしようとした時に納付書が手元にないということも起こり得ます。
また国税庁のホームページから入手しようとしても、ダウンロードすることはできません。

 

そこで、相続税の納付書をどのように入手するのか、その方法をご紹介します。

 

被相続人の住所地を所轄する税務署でもらう

相続税の納付書を入手するには、税務署の窓口で入手するのが最も確実な方法です。
基本的に、どの税務署でも依頼すれば納付書を作成して発行してもらうことができます。

 

ただ、納付書を発行する際にその税務署名や納税者に関する情報を確認される場合があります。

 

税務署での対応に慣れている税理士や税理士事務所員であれば問題ありませんが、初めての場合は不安に感じるかもしれません。

 

その場合は、被相続人の最後の住所地を所轄する税務署に行きましょう。

 

申告に関する様々な相談をしながら、納付書をもらってくることができますので、安心して手続きが進められます。

 

金融機関でも入手できる場合がある

金融機関の窓口に、税金の納付書が準備されていることがあります。

税金を納めに行くついでに納付書を入手するのであれば、事前に税務署に行くという手間を省くことができます。

 

ただ、納付書には記載事項が多くあることや必ず納付書があるとは限らないことから、あまりおすすめできる方法ではありません。

 

相続税申告・納付時の注意点

相続税の納付に関して、基本的な注意点をまとめてご紹介します。
いずれも、すべての相続にあてはまるものであるため、覚えておきましょう。

 

申告や納税の期限を守る

当たり前のことですが、相続税の申告書の提出や納税の期限を守りましょう。
もし、この期限を守らなかった場合、想像以上のペナルティが課されることも考えられます。

 

なお、相続税の申告・納付の期限は、相続開始の翌日から10か月以内です。
ギリギリになってから慌てることのないように、早めに相続の手続きを開始するようにしましょう。

 

納付書は余分に準備しておく

納付書は、基本的に税務署でもらう必要があります。
この時、1枚だけもらうのではなく、少し余分にもらうようにしましょう。

 

万が一、紛失や破損、記載ミスがあるともう一度納付書をもらわなければなりませんが、はじめから余分にもらっておけば再度税務署に行く必要はなくなります。

 

相続人代表がまとめて納付すると問題になる

相続税の納税は、相続人がそれぞれ行わなければなりません。
中には、相続人代表がまとめて払っておくということを考えている人もいるかもしれません。

 

しかしこのように相続税を支払うと、贈与があったものとされるため、新たな税金が発生することとなります。
各相続人に発生した相続税は、必ずそれぞれが自分で支払うようにしましょう。

 

 

相続税の申告書の記載方法については、様々な情報があるため調べやすく、それほど困ることはないでしょう。

 

しかし、納付書の記載方法は国税庁のホームページにも載っていないため、意外に不安に思うことが多いのです。

 

しかも記載を間違えると金融機関で受け付けてもらえないということも考えられるため、慎重に行う必要があります。

 

納税の期限ギリギリになって慌てることのないよう、早めに相続の手続きを済ませるようにしましょう。

 

相続税の納付方法

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相続頑張るFPです。

 

今日は相続税の納付方法についてみていきます。

 

納付書を入手すれば、あとは正しく記載して相続税を納めるだけとなります。
そこで相続税をどこで納付するのか、その納付方法をご紹介します。

 

金融機関の窓口で納付する

相続税の納付書に正しく記載したら、その納付書を金融機関の窓口に持っていき納付します。
金額の上限もなく、どのような場合でもスムーズに納付することができます。

 

税務署で納付する

税務署の窓口で相続税を納付することもできます。
金融機関の窓口は午後3時で閉まってしまいますが、税務署の窓口は午後5時まで開いているので利用しやすい人もいるでしょう。
また、相続税の申告書を提出するついでに納付するということもできます。
ただ、多額の現金を引き出して持ち歩く必要があるため、安全性の面では考えなければなりません。

 

コンビニエンスストアで納付する

意外に思われるかもしれませんが、相続税をコンビニエンスストアで納付することもできます。
24時間いつでも支払うことができ、店舗も数多くあるので非常に便利な方法といえます。
ただ、コンビニエンスストアで納付することができるのは、税額が30万円未満の場合のみです。
また、バーコード付き納付書を税務署で発行してもらう必要があります。
しかし、コンビニエンスストアで納付するために税務署に行くというのは、単なる二度手間でしかないため、利用者はほとんどいません。

 

クレジットカードで納付する

クレジットカードを使って、相続税を納付することもできます。
クレジットカードによる納付であれば、納付書は必要ないため納付書を準備する手間を省くことができます。
また、夜中などでも納付することができる、クレジットカードのポイントがつくといったメリットもあります。
ただ、クレジットカードによる納付の場合、金額に応じて多く決済手数料が発生します。
また、上限が1,000万円となっているほか、クレジットカード自体の限度額もあります。
そのため、現実には利用者は非常に少ない方法です。

 

延納や物納の制度を利用する

ここまで紹介した相続税の納付方法は、すべて現金を用意するか、預金に残高がなければなりません。
しかし、実際の相続においては、税額が何千万円単位になることもあり、手元にそれだけのお金がないということも考えられます。
そこで、延納や物納の制度を利用することを検討しなければならない場合もあるのです。
これらを利用するためには、税務署での手続きが必要なため、まずは税務署で相談することから始めましょう。

 

【記入例付】相続税の納付書の書き方

相続頑張るFPです。

 

税務署に税金を納める際には、納付書と呼ばれる書類を用います。

 

この納付書を実際に目にする機会はほとんどありません。
また、国税庁のホームページには、相続税の納付書の詳しい記載方法も掲載されていません。


そこで、まずは実際の納付書の画像から、その記載方法を確認していきましょう。
実際の納付書とは、以下のような書類です。

 

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ここには、税務署に納付される税金の様々な情報が記載されています。

相続税の申告書の記載内容と納付書の記載を照らし合わせて、誰がいつどれだけの税金を納付したかがわかるようにしているのです。

 

そのため、納付書の記載内容は非常に重要なものばかりです。

ここでは、その記載内容について番号順に解説していきます。

 

①年度

この年度とは、税金を納付した日が属する年度を記載することとされています。

記載例にある令和3年度とは、令和3年4月1日~令和4年3月31日までの期間を指します。

 

なお、この年度があらかじめ印字されている場合は二重線で訂正したり、翌年度にそのまま使ったりしても問題ありません。

 

②税目番号

この納付書は、税務署に納めるすべての税目について使用されるものです。

そのため、税目を記載して何の税金を納めているのかを表示する必要があります。
相続税の場合は、「050」と記載します。

 

③税務署名・税務署番号

被相続人の亡くなった時の住所地の税務署に相続税の申告を行います。
相続税の納付もその税務署に対して行うこととされています。

 

なお、税務署で納付書を入手する場合は、この税務署名と税務署番号が入力された状態でもらうことができます。

 

ただ、空欄の納付書を入手した場合はインターネットなどで確認して記載するようにしましょう。

 

④税目

②の番号と対応する税目を記載します。

この場合は相続税と記載することとなります。

 

⑤税額

相続人ごとに確定した相続税額を、本税の欄と合計額の欄の2か所に記載します。
特に、合計額の記載がないと金融機関で受理されないため、書き忘れないようにしましょう。

また、合計額を記載したら頭に¥マークを忘れずに記載しましょう。

 

⑥住所・電話番号

この税金を納める相続人の住所だけを記載するのではなく、被相続人の住所も記載します。


こうすることで誰の相続税を誰が支払ったのか、わかりやすくなります。

また、納付に関する問い合わせがあるかもしれないため、電話番号を忘れずに記載しておきます。

 

⑦氏名

相続人だけでなく、被相続人の氏名も忘れずに記載しましょう。

相続人の氏名だけしか記載していない場合、誰の相続税を納めたのか税務署で確認するのが大変になることが予想されます。

 

⑧納期等の区分

相続税の場合、納期等の区分には相続開始の日を記載することとされています。

「自」の欄に相続開始の日を記載する一方で、「至」の欄は空欄のままとなります。

亡くなってから10か月後の相続税の期限を記載するミスが起こりやすいため、注意しましょう。

 

⑨申告区分

最初に相続税の金額を計算し納税する際は、確定申告の区分に〇をつけます。

法人に遺贈をする場合の注意点

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相続頑張るFPです。

今回は法人への遺贈について解説したいと思います。

 

遺言で法人に遺贈する

財産を特定の法人に遺贈したいという方が増えています。お世話になった自分が卒業した学校法人や、自分が共感を持てる活動を行っているNPO法人に寄付することも可能です。

ご自身の財産を遺したいと考える相続人がいない人や、多額の財産を親戚に相続させるよりは公共の役にたつことに使ってほしいと考える人もいるでしょう。

そのような方は、自分が役に立ててほしいと考えるNPOなどの法人に遺贈をすることで、死後に自分の思いを実現することができます。

 

法人に遺贈する場合の注意点

法人に遺贈をする場合にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

法人が遺贈を受け付けているかどうかを確認しておく

財産を遺贈したいと考えていても、遺贈先の法人が遺贈を受け付けているかはわかりません。遺言を作成し、法人への遺贈を書き残す前に、法人に遺贈を受け付けてくれるかどうか確認しておく必要があります。

遺贈をする際はどのような財産を遺贈するかも伝えておく必要があります。最も遺贈を受け付けてくれやすいのが預貯金など、換金性が高い金融資産です。事前に相談しておくことで、どのような資産を受け付けてくれるかがわかりますので、金融資産を法人に遺贈し、不動産などの流動性の低い財産を相続人に相続させるなど、選択肢について事前に検討することが可能です。

みなし譲渡所得課税に注意

不動産の遺贈をする場合はみなし譲渡所得課税に注意が必要です。

みなし譲渡所得課税とは所有者が保有中に値上がりした場合の含み益が遺贈された時点で利益を出たものとして課税する制度です。

例えば、遺言者が3,000万円で購入した土地が5,000万円に値上がりしていた場合、2,000万円の含み益があります。2,000万円の含み益は通常、売却時に課税されることになりますが、法人に遺贈をした場合、取得した時点で含み益に対して課税され清算することになります。

法人に不動産を遺贈する場合は、みなし譲渡所得課税のこともよく理解して、遺贈先に説明しておく必要があります。

みなし譲渡所得課税が現時点でかかりそうかどうかを調べるためには購入時の価格を調べておくことが重要です。もし、代々相続してきた不動産で購入時の価格がわからない場合は売却価格の5%を取得費としてみなします。

みなし譲渡所得課税がされることで、遺贈先の法人に思わぬ迷惑がかかってしまうことがありますので、不動産を遺贈する場合には特に注意が必要です。