相続頑張るFPです。
今回は法人への遺贈について解説したいと思います。
遺言で法人に遺贈する
財産を特定の法人に遺贈したいという方が増えています。お世話になった自分が卒業した学校法人や、自分が共感を持てる活動を行っているNPO法人に寄付することも可能です。
ご自身の財産を遺したいと考える相続人がいない人や、多額の財産を親戚に相続させるよりは公共の役にたつことに使ってほしいと考える人もいるでしょう。
そのような方は、自分が役に立ててほしいと考えるNPOなどの法人に遺贈をすることで、死後に自分の思いを実現することができます。
法人に遺贈する場合の注意点
法人に遺贈をする場合にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
法人が遺贈を受け付けているかどうかを確認しておく
財産を遺贈したいと考えていても、遺贈先の法人が遺贈を受け付けているかはわかりません。遺言を作成し、法人への遺贈を書き残す前に、法人に遺贈を受け付けてくれるかどうか確認しておく必要があります。
遺贈をする際はどのような財産を遺贈するかも伝えておく必要があります。最も遺贈を受け付けてくれやすいのが預貯金など、換金性が高い金融資産です。事前に相談しておくことで、どのような資産を受け付けてくれるかがわかりますので、金融資産を法人に遺贈し、不動産などの流動性の低い財産を相続人に相続させるなど、選択肢について事前に検討することが可能です。
みなし譲渡所得課税に注意
不動産の遺贈をする場合はみなし譲渡所得課税に注意が必要です。
みなし譲渡所得課税とは所有者が保有中に値上がりした場合の含み益が遺贈された時点で利益を出たものとして課税する制度です。
例えば、遺言者が3,000万円で購入した土地が5,000万円に値上がりしていた場合、2,000万円の含み益があります。2,000万円の含み益は通常、売却時に課税されることになりますが、法人に遺贈をした場合、取得した時点で含み益に対して課税され清算することになります。
法人に不動産を遺贈する場合は、みなし譲渡所得課税のこともよく理解して、遺贈先に説明しておく必要があります。
みなし譲渡所得課税が現時点でかかりそうかどうかを調べるためには購入時の価格を調べておくことが重要です。もし、代々相続してきた不動産で購入時の価格がわからない場合は売却価格の5%を取得費としてみなします。
みなし譲渡所得課税がされることで、遺贈先の法人に思わぬ迷惑がかかってしまうことがありますので、不動産を遺贈する場合には特に注意が必要です。