令和5年度税制改正大綱解説② ~相続・贈与の改正点~

相続頑張るFPです。

今回からは令和5年度の税制改正大綱の相続・贈与に関する部分を解説していきます。

生前贈与の持ち戻し期間が3年から7年に延長

年間110万円までの非課税枠を用いて子どもや孫に贈与をする方は多いでしょう。現在の制度では相続発生直前に相続税逃れでの贈与を防ぐため、相続発生前3年以内にされた贈与財産については相続財産の課税対象とされています。これを生前贈与の持ち戻しといいます。

令和5年度の税制改正大綱ではこの持ち戻し期間が課税の公平性の観点から3年から7年に延長されることが発表されました。
ただし、延長した4年間については合計100万円までは課税されない制度になっています。

暦年での生前贈与については持ち戻し期間が延長になったことで、より早い期間から贈与を検討しなければならない制度となったと言えるでしょう。

教育資金一括贈与の非課税措置は一部改正して継続

教育資金一括贈与の非課税措置とは孫などひとりあたり、1,500万円まで非課税で一括贈与できる特例です。
贈与された資金は金融機関に預けられ、贈与を受けた孫(未成年の場合は親権者)は領収書などを金融機関に提出し出金します。

この制度は若い世代に資産を移転し有意義に活用してもらうために設けられた制度で、今回の税制改正でも継続することが決まりました。

相続発生時の残額は相続時の課税対象財産が5億円以上の場合のみ、相続税の課税対象となるという改正がされましたが、影響を受ける人は少なく軽微な改正での継続となりました。

結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置は一部改正して継続

結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置は結婚・子育て合算であれば、20歳~49歳までの子や孫に1,000万円非課税で贈与できる制度です。前述の教育資金の一括贈与に比べると使える範囲が狭く、利用が少ない制度ですが、改正を加えたうえで2年延長となりました。

令和5年度の改正では費消しきれなかった資金に関して、今まで特例税率を適用しての贈与税課税であったのが、一般税率を適用して贈与税課税と変更となりました。もともと使いきることが前提の制度ですので影響は軽微といえるでしょう。

まとめ

今回の税制改正大綱では多くの人が利用している暦年贈与についての改正が発表されました。
また、今まで使い勝手が悪いと言われていた相続時精算課税についても大幅に改正されています。次の記事では相続時精算課税制度の改正点について解説します。