令和5年度税制改正大綱解説① ~令和4年度までのおさらい~

相続頑張るFPです。

今回からは令和5年の税制改正大綱について解説します。税制改正大綱を読み解く際は前回までの流れを確認しておくことが必要です。
令和4年までの主な改正についてみていきましょう。

若い世代への資産移転を促す教育資金一括贈与の特例

平成25年に新設されたのが、若い世代への資産移転を促す教育資金一括の贈与の特例です。
教育資金贈与の特例では孫などへの贈与が1,500万円まで非課税になる制度です。

資金使途は教育資金に限られていますが、高齢の資産家から資金を移す手段として現在でも継続しています。

平成27年の基礎控除改正

相続税の改正において、近年最も大きな改正があったのが平成27年の改正です。

平成27年の改正では相続税の基礎控除が縮小されました。
平成26年以前の基礎控除は5,000万円+法定相続人×600万円でした。法定相続人が3名の場合、8,000万円まで非課税です。
改正後の平成27年以後は3,000万円+法定相続人×600万円に変更となりました。
相続人が3名の場合の基礎控除は4,800万円です。
基礎控除は4割削減となったことで、相続税の負担は大きく増えることになり、一部の資産家のみ気にしていた相続税が多くの人が負担するものとなりました。

基礎控除は平成6年以後、改正されておらず、久々の大改正となりました。この改正に伴い、平成27年に相続税がかかったのは約5万6千件だったのに対し、平成28年に相続税がかかったのは約10万3千件と倍増しています。
この数字からも今まで相続税がかからなかった人にも相続税がかかっていることがわかります。

令和4年の税制改正大綱

令和4年の税制会大綱はどのようなものだったのでしょうか。

結論から言うと、相続や贈与のについて、大きな改正はありませんでした。

しかし、生前贈与については諸外国と比べても、負担を回避できる制度となっているとの指摘があり、今後の改正を示唆する内容が記されていました。諸外国では相続と贈与を一体で課税されている国が多く、暦年贈与により、無税で財産移転をできることは問題があると考える専門家もいます。

贈与税については平成27年に直系尊属からの贈与とそれ以外の贈与で税率が異なる運営がはじまりました。しかし、多くの場合、贈与は直系尊属からのものであったため、影響を受ける人は多くはありませんでした。

今回は令和4年までの主な税制改正について解説しました。次の記事で令和5年の税制改正大綱について解説していきます。