二世帯住宅の場合は適用できる?小規模宅地の特例の計算例を解説

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相続頑張るFPです。

前回に引き続き小規模宅地の特例について解説していきます。
今回は適用の判断が分かれる二世帯住宅について確認していきます。

区分登記がされていない場合


二世帯住宅で区分登記がされていない場合は一つの家とみなされます。
そのため、親世帯と子世帯で別々の暮らしをしていたとしても同居をしているものとみなされますので子世帯が財産を相続した場合、小規模宅地の特例を適用することが可能です。

二世帯住宅であっても区分登記がされていない場合は一つの家とみなすことができると言う点は相続税の評価において非常に重要ですので覚えておくとよいでしょう。


区分登記がされている場合


二世帯住宅に親世帯と子供世帯が二世帯住宅に居住している場合、それぞれが区分登記をしているケースがあります。
例えば1階部分を親世帯が居住し、2階部分を子供世帯が居住しているようなケースです。
この場合、子供は被相続人が所有している1階部分には同居していたわけではありません。
また、子供は持ち家を所有しているということになりますので小規模宅地の特例を利用することが、できません。
このように区分登記がされているかどうかによって小規模宅地の特例を利用できるかどうかが変わりますので注意が必要です。

 

小規模宅地の特例による相続税の差額


次に二世帯住宅で小規模宅地の特例をできるかどうかによって相続税がどれくらい異なるかシミュレーションをしてみましょう。

【事例】
被相続人A(配偶者は既に他界)
相続人:長男B(相続人は一人)
自宅土地の評価額:5,000万円(250㎡)
自宅土地以外の財産:8,000万円

 

小規模を宅地を利用した場合


小規模宅地を利用した場合の相続財産は自宅土地以外の財産が8,000万円。
自宅の土地は5,000万円の80%減となりますので、1,000万円の評価となり、合計は自宅土地以外の財産とあわせると9,000万円となります。
被相続人Aの相続人は長男B一人ですので、基礎控除は3,600万円(3,000万円+600万円)ですので相続税の対象となる財産は5,400万円。
相続税は920万円となります。

 

小規模宅地の特例を適用できない場合

次に小規模宅地の特例を適用できない場合のシミュレーションを行ってみましょう。
相続財産は自宅土地5,000万円と自宅土地以外の財産が9,000万円ですので、課税対象となる相続財産は1億円4,000万円です。
基礎控除が3,600万円差し引かれるため、相続税の課税対象となるのは1億400万円。
この場合、相続税は2,460万円となり、同じ財産でも小規模宅地の特例を適用することで大きく差があることがわかります。
今回のケースでは小規模宅地の特例を利用できるかどうかで1,540万円も実際支払う税金に差が生まれるのです。
二世帯住宅は比較的大きな土地を使うことも多いため、相続税に大きな影響を及ぼします。
二世帯住宅は区分登記の有無などによっても適用可否がことなりますので、二世帯住宅の購入を予定している場合はどのように登記するかもよく考えて行うようにしましょう。

 

小規模宅地の特例の適用要件をしっかり確認しておくことが大切


2回にわたって小規模宅地の特例について解説しました。
小規模宅地の特例は相続税に関する特例のなかでも利用者が多く節税効果も大きい特例です。
小規模宅地の特例を適用するかどうかで実際に支払う相続税には大きく差が生まれますので要件をしっかり理解しておく必要があるでしょう。
特に二世帯住宅に住まれている場合は登記の仕方によって適用できるかどうか分かれる場合があります。
小規模宅地の特例を適用するためには二世帯住宅を建築する時に特例の適用要件についても理解しておく必要があります。
小規模宅地の特例は節税効果も大きいため、しっかりと要件を確認して適用ができないと言う事態にならないようにする必要があります。