相続頑張るFPです。
今回は簡単・確実に相続税対策につながる贈与の特例についてご紹介したいと思います。
相続税の節税を目指すうえで生前贈与は最初に検討しておきたい方法です。
具体的にどのように贈与をしていけば相続税の節税につながるのかご紹介します。
贈与の基本となる暦年課税
暦年課税とは一年間で行った贈与に対して課税する制度。
暦年課税では年間110万円までは非課税で贈与することができます。110万円を超えると「贈与税」として課税され、贈与の額が大きくなると税率が高くなります。
参考(国税庁HP) 「贈与税の計算と税率(暦年課税)]
年間110万円でまでであれば、非課税で財産を次の世代の渡すことができますので、少しずつ贈与していけば、贈与税も相続税もかからずにお金を遺すことができるということです。ただし、相続開始前3年以内の贈与は相続税として加算されてしまいます。
そのため、長い年月をかけて少しずつ贈与していく必要があります。また、贈与する相手は法定相続人に限定されていませんので、子ども・子どもの配偶者・孫・孫の配偶者とできるだけ多くの人に贈与をすることで、相続税の課税対象財産を減らすことが可能です。
子どものマイホーム購入を助ける「住宅資金贈与の特例」
「住宅資金贈与の特例」子や孫が住宅資金を購入するために必要な資金を贈与する場合に一定額が非課税になる特例制度。省エネ等住宅の場合は令和2年4月1日~令和3年3月31日の間は最大1,500万円まで非課税で贈与することができます(令和3年4月1日~令和3年12月31日の間は最大1,200万円まで)。
この制度は暦年課税での贈与とあわせて利用できます。そのため、住宅購入資金として1,500万円と毎年110万円の贈与を行えばかなり相続税の課税対象財産を減らすことができるでしょう。
参考(国税庁HP):参考(国税庁HP) 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税]
孫の教育を手助けする「教育資金の贈与の特例」
「教育資金贈与の特例」とは教育資金を贈与する場合、両親や祖父母からの贈与が受贈者(財産を受け取る人)一人につき1,500万円まで非課税になる制度。
教育資金贈与の特例はこれから教育資金がかかる孫がいる方には非常に有効な特例制度です。
この特例も住宅資金贈与の特例と同じく暦年課税での贈与も続けながら利用することができます。孫が複数いる場合は1,500万円×人数分の贈与を非課税で行えるため、相続税の課税対象財産を大きく減らすことができます。
これから教育資金がかかるお孫さんがいる方は是非とも活用したい制度です。
参考(国税庁HP): 「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税]
相続時に相続税の対象にできる相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫に贈与した際に2,500万円までは「贈与税」ではなく、「相続税」の対象として贈与することができる特例制度です。 また、2,500万円超の部分は一律20%の税率で贈与税として課税されます。
この制度は贈与をした際の時価が相続税の課税対象財産として贈与されるため、今後値上がりが予想される株や家賃収入が入る不動産などを贈与することで財産移転のメリットが大きくなります。
参考(HP): 「相続時精算課税の選択]
夫婦間で居住用財産を贈与した場合に利用できる配偶者控除
婚姻期間20年以上の夫婦間で自宅として使用している土地・建物を贈与した場合、最大2,000万円までは非課税で贈与をすることができます。
この制度は夫婦間で財産額に偏りがある場合に有効な制度。
相続税は課税対象財産額が大きければ大きいほど税率があがっていってしまうため、夫婦間で財産に偏りがあると同じ金額でも実際に支払う相続税は高くなってしまいます。そのような場合にはこの特例を使って夫婦間の財産の差を小さくしておくことが有効です。
参考(国税庁HP):「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除]
まとめ
贈与を活用した相続税対策についてご紹介しました。相続税対策として贈与を使うメリットは「簡単」で「確実」という点です。
贈与を使うことで確実に相続税の課税対象財産を減らす(=相続税減らす)ことができます。
特に様々な特例を使える場面がある方は特例を利用することで効果を大きくすることができます。
贈与は早めから実施することで効果も大きくなりますので、相続税対策を検討しようと言う方はまず贈与から検討してみても良いでしょう。