法定相続割合とは異なる割合で財産を遺したい場合は?

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相続がんばるFPです。

 

ご自身の相続を考えると、必ずしも法定相続割合で分割することが適切ではないと感じられている方も多いのではないでしょうか。

 

様々な方法で法定相続割合とは異なる割合で財産を遺すことが可能です。
今回は法定相続割合とは異なる方法で財産を遺す具体的な方法をご紹介します。

 

遺言を作成する

法定相続割合とは異なる方法で財産を遺す方法として最も有効なのが遺言を作成することです。遺言を作成することで、法定相続人ではない人に財産を遺すことや法定相続割合とは異なる方法で財産を遺すことができます。

 

遺言の優れている点はどの財産を誰に渡すかを指定して配分できることです。相続財産は現金のように必ずしも簡単に分割できるものばかりではありません。

 

例えば、自宅の不動産は持ち分を2等分や3等分にすることは可能ですが、自宅に住まない人に持ち分を持たせたところであまり意味がありません。自宅に同居していて引き続き住む人がいるのであれば、やはりその人が相続するべきでしょう。

ここで問題となるのが、不動産をその人に遺した場合、残りの金融資産を誰に遺すかといったケースです。以下の事例で確認していきましょう。

 

被相続人:母(90歳で死亡)

法定相続人:長男、長女(配偶者は死亡)

法定相続割合:①長男(2分の1)
       ②長女(2分の1)

財産:自宅不動産(評価額5,000万円)

   現金(5,000万円)

【状況】

長男は自宅不動産に同居、長男の妻と共に被相続人が亡くなるまで自宅で介護をしていた。長女は遠方に住んでおり、お盆と正月のみ帰ってくる。

 

このようなケースでは以下の主張を行う方が多くなります。

 

①長男と長男の妻は高齢の母を献身的に介護しており、長女よりも多くの財産を相続するべき。そのため長男は同居している自宅不動産と現金の2分の1(合計7,500万円)を相続する。長女は残りの現金2,500万円を相続する。

 

②法定相続割合は長男と長女で2分の1ずつ。評価額5,000万円の不動産を長男が相続するのであれば、長女は現金全額(5,000万円)を相続するべき。

 

どちらの主張が正しいと思いますか?もちろん正解はありません。
このようなケースでは兄弟間で揉め事に発展することも多いため、母の気持ちをしっかりと遺言に遺しておくことが重要です。

 

特に法定相続割合とは異なる配分で財産を遺したい場合は遺言に書き残し、その配分にした理由も書いておくことで、相続人の納得感も高まります。

 

また、遺言を作成しておけば法定相続人ではない方に財産を遺すことも可能です。今回のケースであれば、献身的な介護をしてくれば長男の妻に少し財産を遺すということも考えてみてもいいでしょう。

遺言は財産を指定して、誰にどう遺すか配分を細かく決められることが最大のメリットです。但し、有効な遺言を作成するには知識が必要で、手間がかかります。弁護士等に作成をお願いすると費用もかかります。手間と費用がかかってしまう点は遺言のデメリットと言えるでしょう。

 

生命保険を活用する

法定相続割合とは異なる方法で遺す方法の2つ目は生命保険を活用する方法です。
生命保険は遺言のように不動産等、財産を指定して配分を決定することができません。
その代わり、手軽にできるというメリットがあります。実際の活用例をみて行きましょう。

被相続人:母(90歳で死亡)

法定相続人:長男、長女(配偶者は死亡)

法定相続割合:①長男(2分の1)
       ②長女(2分の1)

財産:現金(1億円)
   ※介護付き有料老人ホームに入居しており、自宅は既に売却済

【状況】

母は高齢であるが、介護付き有料老人ホームに入居しており介護負担は少なかった。
長男は月2回程度ホームに面会に行っており、長女はお盆と正月のみ会いに行っていた。

 

このようなケースでは先ほどのケースとは違い、長男には大きな介護負担はかかっていません。しかし、より多く面会に来てくれる長男に少しだけ財産を多く遺したいという方も多いのではないでしょうか。このような時に活用できるのが生命保険です。

 

一時払い終身保険などの生命保険は死亡保険金を契約時に指定した相続人に遺すことが可能です。

 

例えば、生前に500万円の生命保険を契約し長男を死亡保険金受取人いしておけば、500万円を長男が受け取り、残りの財産を法定相続割合で分割することになります。

生命保険は1~2時間程度の契約で手続きが完了しますので遺言作成よりも手軽に利用できる点が生命保険のメリットです。

 

生前贈与を活用する

相続時の割合を変更するわけではありませんが、生前に贈与しておくというのも一つの方法です。贈与には贈与税がかかりますが、年間110万円以内であれば、非課税枠の範囲内であり、贈与税はかかりません。

 

法定相続割合よりも多く残したい方がいる場合は、事前に贈与しておくことで実質的に財産を多く遺すことが可能です。

 

法定相続割合と異なる割合で財産を遺したい場合は配慮が大切

法定相続割合とは異なる割合で財産を分ける方法をご紹介しました。
ここまでご紹介した方法を活用することで、結果的に法定相続割合とは異なる割合で財産を遺すことが可能です。

 

しかし、大切なことは法定相続割合よりも少なくなってしまう方への配慮です。
受け取ることができる財産が法定相続割合よりも少なくなる方は当然おもしろくないでしょう。

 

そのため、結果的に少なくなってしまう方にもこのような配分で財産を遺したい理由を手紙で残したり、事前に説明しておくなど配慮をしておくことが大切です。