相続頑張るFPです。
今回は生命保険を活用した相続税対策のメリットについて解説します。
生命保険と言えば非課税枠の活用を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。
生命保険は非課税枠以外でも様々なメリットが期待できるということを解説したいと思います。
生命保険かけるパターン
生命保険で節税をする際には生命保険をかける際にどのようなパターンがあるか理解しておく必要があります。
まず、生命保険には3人の登場人物がいるということ覚えておいてください。
契約者=保険会社と契約を締結する人(お金を支払う人)
被保険者=保険がかけられている人(被保険者が亡くなったら保険金が支払われる)
受取人=死亡保険金を受け取る人
この3人の関係で税金のかかり方が異なります。
関係によってどのように違うのか見ていきましょう。
契約者と被保険者が同一の場合
契約者=被保険者で生命保険を契約している場合は
被保険者の死亡によって契約は終了し、死亡保険金がみなし相続財産として相続税の対象になります(みなし相続財産に関する解説記事はこちら→●)。
そのため、契約時に死亡保険金が決まっている生命保険であれば、契約時に相続税の対象となる金額が確定します。
一方、変額保険や外貨建て終身保険のように運用成果によって死亡保険金の受取金額が異なるものは死亡保険金は運用次第で変動するということになります。
契約者と被保険者が別人の場合
契約者と被保険者が別人の場合は契約者の死亡によって生命保険の契約が終了することはありません。
保険の対象となっている、被保険者が死亡しない場合保険金を受け取ることができないからです。
被保険者よりも契約者が先に亡くなった場合には解約返戻金(その時点で解約したら受け取ることができる金額)が相続財産として相続税の対象になります。
そのため、契約当初は解約返戻金が抑えることができる生命保険を活用することで節税になります。
この点に関しては後程詳しくご説明します。
契約者と受取人が同一で被保険者が別人の場合
契約者と受取人が同一で被保険者が別人の場合には支払保険料と死亡保険金額との差額が所得税の対象となります。
例えば、1,000万円の保険料を支払い、1,100万円の死亡保険金を受け取った場合には100万円に対し一時所得として課税されます。
生命保険の活用事例
ここまで、生命保険契約のパターンをご説明しました。
ここからはそれぞれのパターンを活用して実際にどのような対策を行うことができるのかをご説明します。
パターン①契約者と被保険者が同一で子どもに遺すケース
【契約例】
契約者=親
被保険者=親
保険金受取人=子ども
最も一般的な生命保険を活用した節税方法ですね。
このようなケースでは相続税の非課税枠を利用して相続税を節税することが可能です。
生命保険の非課税枠を使った節税についてはこちらをご覧ください→
パターン②契約者を親、被保険者を子供にして契約を引き継ぐケース
【契約例】
契約者=親
被保険者=子ども
保険金受取人=親(親が先に亡くなった場合は変更する)
このようなケースでは親が亡くなった時点での解約返戻金が相続税の対象となります。契約当初は解約返戻金を低く抑えている保険もありますので、支払保険料と解約返戻金の差額を使って相続税対策を行うことが可能です。
例えば、毎年100万円の保険料を支払い、契約後10年間の解約返戻金は保険料支払の50%、契約後10年以上経過すると解約返戻金は支払保険料の100%となる保険があるとしましょう。
この保険を契約者である親が5年間保険料を支払った時点で亡くなった場合は以下のようになります。
支払保険料=500万円
解約返戻金(相続税の対象財産)=250万円
このように支払保険料と解約返戻金に差が生まれるため、相続税の対象となる財産を250万円減らすことができます。
一方で、契約後10年後に親が亡くなった場合は以下のようになります。
支払保険料=1,000万円
解約返戻金(相続税の対象財産)=1,000万円
このように低解約返戻期間が終了してから親が亡くなった場合には節税効果はありません。
低解約返戻金の生命保険は契約後早期に親が亡くなった場合には節税効果が大きいものの、長生きした場合には節税効果はありません。
そのため、余裕資金を万が一のためにかけておいて、長生きした場合は解約してご自身で使うというような意味合いで契約しておくのも良いでしょう。
パターン③契約者、保険金受取人を子どもにして被保険者を親にするケース
【契約例】
契約者=子ども
被保険者=親
保険金受取人=子ども
子供が保険料を支払い、被保険者を親にしておくことで、親が亡くなった時に子供が死亡保険金として受け取ることができます。
このような契約をするメリットは納税資金を確保できるということです。
不動産等の現金以外の相続財産が多い方が亡くなった場合、相続税を納付するための現金確保に困るケースが多くあります。
しかし、親が亡くなった場合に保険金を受け取ることができるようにしておけば納税資金として確保することができます。
また、このようなケースでは子どもが支払う保険料を親が贈与することをオススメします。保険料を親が贈与することで親の相続財産を減らしながら納税資金を確保することができますね。
ただし、相続開始前3年以内に贈与した財産は相続財産として課税されますので、早めから少しずつ贈与する事が大切です。
非課税枠がまだ残っているのであれば、パターン①の方が簡単かつ確実に節税と納税資金確保に繋がります。
非課税枠を使い切ってしまった場合はパターン③も検討してみると良いでしょう。