みなし相続財産ってなに?

相続頑張るFPです。

 本ブログでは信託銀行の営業として培った知識と経験を活かして相続について役に立つ情報を発信していきたいと思います。

今回は相続財産を把握するうえで理解しておく必要がある「みなし相続財産」について解説します。

みなし相続財産を理解することができなければ、相続財産全体を把握することができません。相続財産全体を把握することができないということは分割方法も相続税対策もすることができないということ。

だからみなし相続財産について理解しておくことはとても重要なんですね。
それではみなし相続財産について解説していきます。

みなし相続財産とは

みなし相続財産とはその名の通り相続財産としてみなす財産です。

民法上は相続財産ではないのですが、税法上は相続財産としてみなし、相続税の計算にも加算される財産と理解してください。

民法上の相続財産ではないということは法定相続割合(民法で定められた相続人が相続する割合)や遺留分(配偶者や子ども最低限財産をもらえる権利)の算定上は財産として含めませんが相続税の計算上はみなし相続財産も含めるということですね。

みなし相続財産にはどのようなものがある?

みなし相続財産にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な事例を見ていきましょう。

1)代表的なみなし相続財産は生命保険金

見なし相続財産として代表的なものは「生命保険金」です。

被相続人が死亡した際に銀行預金や株等の金融資産は相続人で遺産分割協議(遺産をどのように分割するか話し合いを行うこと)を行って誰がどの財産を受け取るかを決めることになります。

しかし、生命保険金は受取人があらかじめ決められているため受取人の「固有の財産」となり、遺産分割協議の対象とはなりません。

 

2)生命保険以外のみなし相続財産

みなし相続財産として課税される財産は生命保険以外にもたくさんあります。

どのような財産がみなし相続財産として課税されるのか確認していきましょう。

 

①相続開始前3年以内に相続人に贈与された財産

相続開始前3年以内に相続人に贈与された財産はみなし相続財産として課税されます。

贈与された財産は「贈与税」の対象として課税されますが、相続開始前3年以内の贈与に限っては「相続税」の対象として課税されます。

 

②死亡退職金

死亡退職金とは在職中に亡くなった方に退職金や功労金等の名目で支払われます。

死亡退職金は会社の就業規則等で受け取る方が決まっているケースも多いため、遺産分割協議の対象にはなりません。

しかし、死亡後3年以内に支給が決まった死亡退職金については死亡退職金として課税の対象になります。

 

③個人年金保険などの定期金

個人年金保険等で定期的に受け取っている定期金には受取人が死亡したことによって給付が打ち切られるものと相続人が引き続き受け取ることができるものがあります。

引き続き受け取ることができるものに関してはみなし相続財産として受益権(定期金を受け取ることができる権利)に対してみなし相続財産として課税されます。

 

④債務の免除

被相続人が人にお金を貸している際に死亡によってその債務を免除することもみなし相続財産として課税されます。

例えば、被相続人が長男に2,000万円を貸しており、相続をきっかけに借金を免除した場合、長男は実質的に2,000万円を相続したのと同じ効果を得ることができます。

このようなことが相続税の課税無しに可能になると相続税逃れのために事前に貸しておいて債務を免除するということができてしまうので、債務の免除もみなし相続財産として相続税の課税対象としているのです。

「みなし相続財産」のまとめ

①みなし相続財産とは民法上の相続財産ではないが、相続税の課税対象となる

②みなし相続財産の代表は生命保険金、他にも相続開始前3年以内の贈与や死亡退職金がある